第2回
こころに効くツボ-ストレス・うつ-
こころに効くツボ-ストレス・うつ-
第2回目は、こころに効くツボを紹介します。コロナの緊急事態宣言も解除され、閉じこもるリモートでの生活から通勤や通学へと変化のある時期です。"コロナストレス”や”コロナうつ”などの言葉も最近よく耳にしますが、ストレスとは、外部からの圧力(ストレッサー)により心身に歪みが生じた状態のことを言います。ストレッサーには、暑さ・寒さ・騒音などの「物理的ストレッサー」、薬物・公害物物質などの「化学的ストレッサー」、人間関係や家庭問題などの「心理・社会的ストレッサー」などがあります。
ストレッサーはストレス反応を引き起こす
ストレス反応とは、ストレッサーによって生じる心理面・身体面・行動面の問題のことです。
心理面:イライラ、気分の落ち込み、やる気の低下 など
身体面:からだの痛み、胃の不調、便秘・下痢、動悸、不眠 など
行動面:飲酒や喫煙量の増加、仕事でのミスの増加 など
ストレス反応への対処はとても大切
ストレス反応が長く続くことは、からだやこころが強いストレス状態になっていることを表しています。こうなると、うつ病などの心の病気や慢性疼痛(原因なく続く痛み)などの原因になります。早い段階からストレスを軽減することが大切になります。
ストレスは体内時計を狂わせる
こころ穏やかに過ごすために役立っている、最も重要な脳のメカニズムのひとつが、 “体内時計”です。リモートワークなどでこれまでの生活スタイルが変化せざるを得ない状況に陥ると、体内時計が正確な時を刻めなくなり、その体内時計の乱れがうつ状態の出現などにつながりやすくなります。反対に、毎日を規則正しく過ごすように気をつけることは、ストレス下であっても体内時計を正確に働かせ、気分を安定させるためにとても役ちます。
日常生活を規則的に送るための自己管理術
自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。
毎日、同じ時刻に起きましょう。
毎日、一定時間を屋外で過ごすようにしましょう。午前中の早い時間帯が望ましいでしょう。
もし、あなたが外に出られないとしても、少なくとも 2 時間は窓際で過ごしましょう。
在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、毎日行ういくつかの活動はやる時間を決めましょう。そして、毎日、同じ時間に行いましょう。
毎日、同じ時間に食事をしましょう。
毎日、同じ時刻にテレビ電話、音声通話、LINE のような文章だけの会話であっても、誰かとコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。
日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝は)は避けましょう。もし、どうしても昼寝が必要な方は最大でも 30 分以内に抑えましょう。
夜間に明るい光(特にブルーライト)を浴びるのは避けましょう。
自分自身に合った、起床と就寝の時間を決め、一貫してその睡眠リズムを保つようにしましょう。毎日、同じ時間に床につき、同じ時間に起きることがポイントです。
ストレスから身を護るために
ストレスから身を護るためには、上記のようなセルフ管理とともに、ツボ押しによるセルフケアを活用して下さい。
そこで今回は、ストレスやうつなど”こころに効くツボ”を紹介します!
合谷(ごうこく)
取り方:親指と人さし指の骨がまじわるところから人差し指の骨に沿って撫で上げ、くぼんで押すと痛いところ。
全身には、365ものツボがあります。それらの中でも、脳に刺激が伝わりやすいのが「合谷」です。また、色々な症状に効果があるため「万能のツボ」ともいわれます。実際に鍼灸治療の現場では、「合谷」は、肩や首の凝り、手や指の疲労や痛み、目の疲れ、頭痛、下の歯の痛み、鼻づまり、便秘などの症状に用いられます。さらに、メンタル面でも、ストレスや神経過敏、集中力がない、気分の落ち込む、イライラ、やる気が起きないなどの症状がある時に刺激すると、症状が緩和されます。
合谷のツボ押しによる効果
合谷のツボ押しで脳血流が増加
ストレスによって生じる”こころの病”の代表ともいえる「うつ病」は、健康な人と比べて脳血流が低いと言われています。「合谷」はうつ病の治療にもよく用いられるツボです。その効果を脳血流を測定できるMRIを使って測定してみたところ、約2分という短いツボ押しにもかかわらず、脳血流が増加しました。「合谷」が”こころに効く”のも、脳血流の改善が関係しているのかもしれませんね!